令和5年度 春期 ITストラテジスト試験 午後I 問題 問4 空飛ぶクルマ訓練用モーションシミュレーターの事業展開
この問題は2023(R5)春 ITストラテジスト 午後Iに出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。
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学習ガイド
モーションシミュレーターを主力とするF社が、空飛ぶクルマの操縦訓練市場へ進出する事例です。要求仕様と技術分析を突き合わせ、自社対応、協業、技術提携、対象外の判断を整理します。既存製品の強みと将来の操縦士不足を事業機会へ結び付けます。本文・表・図の根拠を行き来し、用語だけを暗記するのではなく、短い記述にも判断の理由を残して解答する手順を示します。
この記事で押さえる論点
- F社主力製品の技術面の特徴(空間6自由度の自由度と精度)を新製品選定の根拠として説明できる
- 空飛ぶクルマとヘリの航続時間・速度の差から配備拠点数の論理を導く
- 協業・技術提携・対象外とした製品を、要求仕様と製品技術分析の対応関係で説明する
- 自動操縦の実用化後も遠隔操縦訓練が残る理由と、現在の操縦士不足という市場問題を結び付ける
出題情報
- 出題
- 2023(R5)春 ITストラテジスト 午後I 問4
- 配点
- 50点満点
- 模範解答
- 公表(設問ごとに掲載)
出題趣旨・採点講評(IPA 公表)
ITストラテジストには,自社の事業方針を踏まえ,社会状況や市場を分析して将来性が見込める事業を想定した新製品を企画する能力,更には,将来,別の市場に合う製品としてどのように発展させるかといった事業戦略を立案する能力が求められる。本問では,実験・試験装置の製造販売メーカーにおけるモーションシミュレーターの事業展開を題材として,空飛ぶクルマなどの市場動向を踏まえ,将来構想を分析する能力,それを基に新たな製品を企画して要求仕様を定義する能力,協業する企業との関係構築を含む事業戦略を策定する能力を問う。
問4では,実験・試験装置メーカーにおける事業展開について出題した。全体として正答率は平均的であった。ITストラテジストは,社会の要求と市場の動向を時間軸も含めて分析し,企業がもつ強みが生かせる製品を立案する能力,事業の将来性を踏まえた上で戦略的な事業計画を立案し,推進する能力をともに高めてほしい。
問題本文
モーションシミュレーターの事業展開に関する次の記述を読んで,設問に答えよ。
F社は,センサーや筐体,機械製品などを対象とした実験・試験装置の設計,製造販売,据付工事を行うメーカーで,動揺や振動を模擬するモーションシミュレーターを主力製品としている。
モーションシミュレーターは,対象品に対し,外部から動きを与える装置である。F社のモーションシミュレーターは,台を支持する6本の電動シリンダを伸縮させることで,台に載せた対象品に対して前後(X軸),左右(Y軸),上下(Z軸)方向の動きと,左右方向の傾き(ロール),前後方向の傾き(ピッチ),左右方向の回転(ヨー)の,空間6自由度の動きを自在に作り出す装置である。
F社のモーションシミュレーターを図1に示す。

図の説明テキスト
F社のモーションシミュレーターのイラスト図。2つの状態が並べて描かれている。左側は「(a) 初期状態」として、六角形の台座と天板を6本のシリンダで繋ぎ、天板が水平になっている図。右側は「(b) 動作例」として、シリンダが伸縮し天板が傾きながら持ち上がっている図。下部には「図1 F社のモーションシミュレーター」というキャプションがある。
F社のモーションシミュレーターは,最大搭載質量 500kg の比較的少型の製品であり,ジャイロセンサーや慣性センサーなどの性能計測と校正,及び筐体や機械製品などの強度計測を目的とした実験・試験装置で,設定したシナリオに従って台を動かす機能をもち,自由度と精度の高さで他社に秀でている。
F社は,今後見込まれる市場の要求を分析して,保有技術を生かした新たな製品を開発して市場に投入することで,より高い業績を目指すことを方針とした。
〔モーションシミュレーターの役割〕
一般的にモーションシミュレーターは,開発用と訓練用に分けられる。
開発用のモーションシミュレーターは,性能の検討や設計上のデータを得るために用いられる。ただし,近年は,現実の世界をモデル化し,コンピュータ上でシミュレーションして設計上のデータを得る手法で開発を進めることが多い。空飛ぶクルマなど,今後実現される製品の多くはコンピュータ上のシミュレーションによって開発が進められるものと考えられている。
訓練用のモーションシミュレーターは,実物では技術的又は経済的に困難な条件を何度も自由に再現でき,実物での訓練よりも経済面・安全面で勝るので,航空機の操縦訓練やレーシングドライバーの養成などに活用される例が多い。
航空機の訓練用モーションシミュレーターは,航空機メーカーが重工業メーカーと協業して開発したものが多く,航空機メーカーと重工業メーカーの保有技術に基づいた歴史ある製品となっている。
自動車の訓練用モーションシミュレーターは,一般の運転者向けの製品は例が少ないが,レーシングドライバーやレーシングゲーム愛好者が車の性能を限界まで引き出す運転技術を磨くことを目的とした製品があり,自由度と精度は限定的であるが,運転者が行った操作の体感へのフィードバックなど,車種ごとの性能や特徴を体感できる機能を備えている。
〔市場分析〕
F社のITストラテジストであるB氏は,自社の方針に従い,保有技術が生かせると見込まれる市場を調査した結果,政府が“空の移動革命に向けたロードマップ”を示したことで,2020年代後半から急速に輸送サービスの拡大が想定される空飛ぶクルマの市場が,F社の新たな事業領域として有望と考えた。そして,現時点で想定される空飛ぶクルマに期待される構想と活用シーンを調べ,次に示すとおり整理した。
(1) 空飛ぶクルマに期待される構想
- 2030年代頃に,操縦者不要な自動操縦も実用化することが想定される。
- 操縦者不要な自動操縦は,専用の離着陸場で離着陸することを前提としている。
- 操縦者不要な自動操縦の実用化までは,操縦支援を受けながら,操縦者の操縦で飛行する必要があり,専用の操縦免許が設定される見込みである。
- 空飛ぶクルマは,機種ごとに操縦方法や性能・特性が異なるので,操縦免許は教習を受けた機種ごとに限定する方向で政府が検討を進めている。
- 操縦者が操縦する空飛ぶクルマには,旅客輸送で操縦者が搭乗して操縦する場合と,荷物輸送で操縦者が遠隔から操縦する場合が想定されている。
- 旅客輸送で操縦者が搭乗して操縦する場合は,空間6自由度に対する精度の高い操縦が求められると想定される。
- 荷物輸送で操縦者が遠隔から操縦する場合は,飛行時間の多くを占める巡航を自動操縦にすることを前提に,離着陸時などは1人の操縦者で複数の空飛ぶクルマを切り替えながら,視覚情報だけを基に操縦することも想定されている。
- 航続時間1時間程度,飛行速度 100km/時程度の性能を想定している。
(2) 空飛ぶクルマに期待される活用シーン
- 都市内の移動では,地上の道路の混雑に対して,空を飛ぶことによって信号待ちや渋滞を避けることができ,短時間での移動が可能となる。
- 離島や山間地域など,過疎地で公共交通機関を維持できない地域が増えているが,そうした場所でも必要時に容易に過疎地の人の移動が可能となる。
- 災害時・緊急時に,医者や被災者,急病人やけが人,物資などを運ぶ活用シーンも期待されている。
B氏が調べたところ,現在,災害時・緊急時に活用されている消防防災ヘリ及びドクターヘリの航続時間は 2.5 時間程度,飛行速度 230km/時程度の性能で,厳しい気象条件と場所での運用も強いられている。特に,突風や視界不良などの厳しい気象条件における姿勢維持や不特定の場所における離着陸では,視界だけでなく,機体の移動や動揺を体感しながら操縦する必要があり,対応できる操縦技能の高い操縦士が不足していること,操縦士の配備にコストが多く掛かっていることが分かった。
市場分析の結果,B氏は,空飛ぶクルマの操縦訓練をするためのモーションシミュレーターを新製品として開発することがよいと考えた。
また,B氏は,消防防災ヘリ及びドクターヘリに加えて,空飛ぶクルマを災害時・緊急時を想定したシーンに活用する場合は,その特性を考慮すると,現在の消防防災ヘリ及びドクターヘリよりも多くの拠点に配備される必要があると考えた。
〔要求仕様の定義〕
B氏は,空飛ぶクルマの訓練用モーションシミュレーターに対する機能・要求を分析し,次のように整理した。
- 視界だけでなく,機体の移動や動揺も体感しながらの訓練ができること
- 操縦者の操縦結果を,視覚情報や空間6自由度の動きに加え,操縦桿やペダルなどの操縦装置の反力にもフィードバックすること
- 空飛ぶクルマの機種ごとの性能・特性を再現できること
〔製品技術の分析〕
B氏は,システムアーキテクトのC氏に,空飛ぶクルマの訓練用モーションシミュレーターの開発に必要となる技術の分析を依頼した。
C氏は分析結果を次のようにまとめて報告した。
- 視界はARゴーグルを用いれば体感させることができる。
- 機体の移動や動揺を体感させるようにするには,実機と同じ操縦席及び操縦装置をF社のモーションシミュレーターに載せて動かせばよい。
- 空飛ぶクルマの機種ごとの性能・特性を再現するために設計上のデータが必要だが,空飛ぶクルマにモーションシミュレーターで外力を与え,空飛ぶクルマがどのような反応,挙動を示すかを計測して設計上のデータを得ようとすると相当時間が掛かる。
- 操縦者の操縦結果を,視覚情報や移動,動揺に加え,操縦桿やペダルなどの操縦装置の反力に与えるためのフィードバックの制御技術の開発は,F社では難しい。
〔新製品の検討〕
B氏は,F社の新製品として,空飛ぶクルマの開発を進めているメーカーとの協業,及びレーシングゲーム用のモーションシミュレーターを作る国内メーカーとの技術提携を前提として,空飛ぶクルマの操縦訓練をするためのモーションシミュレーターを開発する事業提案を取りまとめた。
B氏は,今後見込まれる市場の要求として操縦訓練をするためのモーションシミュレーター以外に空飛ぶクルマの荷物輸送の遠隔操縦システムもあると分析したが,F社の保有技術を生かせないと考え新製品の対象から外した。
〔将来の事業展開〕
B氏は,将来の発展的な製品として,空飛ぶクルマの操縦訓練をするためのモーションシミュレーターに機能を加え,災害時・緊急時を想定した空飛ぶクルマの遠隔操縦の訓練用システムを考えた。
B氏,災害時・緊急時を想定した空飛ぶクルマの活用における遠隔操縦は,操縦者不要な自動操縦の実用化に至った後も残ると考え,将来の事業展開の方針として,災害時・緊急時を想定した空飛ぶクルマの遠隔操縦の訓練用システムを開発し,販売することにした。また,災害時・緊急時を想定した空飛ぶクルマの遠隔操縦の訓練用システムを販売することで,現在の市場における問題を改善できると考えた。
設問と解答・解説
設問1
〔市場分析〕について答えよ。
(1)
B氏が,市場分析の結果,空飛ぶクルマの操縦訓練をするためのモーションシミュレーターを新製品として開発することがよいと考えるに至った,F社主力製品の技術面の特徴は何か。25字以内で答えよ。
模範解答
自由度と精度の高さで他社に秀でている。
採点基準(配点 7点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: F社主力製品の特徴である「自由度と精度の高さ」と「他社に対する優位性」の両方を正確に指摘できている。
- 3点: 「自由度」や「精度」について言及しているが、他社に対する優位性の記載が漏れている。
- 2点: モーションシミュレーターの一般的な機能に言及するにとどまり、F社主力製品の独自の特徴に関する言及が不十分である。
- 1点: 断片的なキーワードのみが記載されており、設問の意図から逸脱している。
- 0点: 無解答、または全く的外れな内容である。
論理性(構造)(3点)
- 3点: 25字以内という制約の中で、文脈が自然かつ論理的に構成されている。
- 2点: 意味は通じるが、表現がやや冗長であるか、接続関係にわずかな違和感がある。
- 1点: 構造が不明確で、文意を読み取ることが難しい。
- 0点: 無解答、または全く意味をなさない。
解説
本問は、市場分析の結果から新製品開発に至った理由となる「F社主力製品の技術面の特徴」を問う設問です。
空飛ぶクルマの操縦訓練用シミュレーターとして採用されるためには、単なるシミュレーターとしての機能以上のものが求められます。B氏が着目したのは、F社の製品がもつ自由度と精度の高さにおいて、他社に秀でているという点です。
設問の講評にもある通り、一般的なモーションシミュレーターの機能(例:「動きを再現できるから」など)を答えるだけでは不十分であり、F社独自の強みである「自由度」「精度」「他社優位性」の要素を的確に抽出することが求められます。
高得点のポイント
自由度と精度の高さというF社独自の技術的強みに言及していること。
その強みが他社よりも優れている(秀でている)という比較優位性を示していること。
単なるシミュレーターの一般的な機能の説明にとどまっていないこと。
(2)
B氏が,空飛ぶクルマを災害時・緊急時を想定したシーンに活用する場合は現在の消防防災ヘリ及びドクターヘリよりも多くの拠点に配備される必要があると考えたのはなぜか。40字以内で答えよ。
模範解答
消防防災ヘリ及びドクターヘリに比べ,航続時間が短く速度が遅いから
採点基準(配点 7点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: 既存のヘリコプターと比較して、「航続時間が短いこと」と「速度が遅いこと」の両方を正確に指摘できている。
- 3点: 比較対象について触れており、「航続時間が短い」または「速度が遅い」のいずれか一方のみを指摘している。
- 2点: 拠点配備が必要な理由として、空飛ぶクルマの性能的な弱点に触れているが、内容が抽象的である。
- 1点: 断片的なキーワードのみ記載されており、具体的な理由になっていない。
- 0点: 無解答、または全く的外れな内容である。
論理性(構造)(3点)
- 3点: 40字以内という制約の中で、文脈が自然かつ論理的に構成されている。
- 2点: 意味は通じるが、表現がやや冗長であるか、接続関係にわずかな違和感がある。
- 1点: 構造が不明確で、文意を読み取ることが難しい。
- 0点: 無解答、または全く意味をなさない。
解説
本問は、空飛ぶクルマを災害時・緊急時に活用する際、現在の消防防災ヘリやドクターヘリと比較して、なぜより多くの拠点に配備される必要があるのかを問う設問です。
空飛ぶクルマはバッテリー等の制限から、既存のヘリコプターに比べて航続時間が短く、また速度が遅いという課題(弱点)があります。
そのため、広範囲をカバーする少数の拠点からの出動では間に合わない可能性があり、対象地域に対してより多くの拠点に配備し、短距離・短時間で現場に到達できる体制が必要だとB氏は考えました。
高得点のポイント
消防防災ヘリやドクターヘリと比較した空飛ぶクルマの弱点に言及していること。
航続時間が短いという制約を明記していること。
速度が遅いという制約を明記していること。
設問1(1)は,正答率がやや低かった。モーションシミュレーターの一般的な機能を答えるにとどまり,F社主力製品の特徴に言及していない解答が散見された。設問で求められている内容と,製品の特徴をよく理解して解答してほしい。
設問2
〔新製品の検討〕について答えよ。
(1)
B氏が,F社の新製品を開発するに当たり,空飛ぶクルマの開発メーカーとの協業を前提とした技術面の目的は何か。20字以内で答えよ。
模範解答
設計上のデータを得るため
採点基準(配点 8点)
知識・理解度(内容)(5点)
- 5点: 協業の技術的な目的である「設計上のデータを得るため」という要素を的確に記載できている。
- 4点: データ取得について触れているが、「設計上の」という前提が欠けているか、表現が不正確である。
- 3点: 抽象的な技術協力について述べているが、具体的に取得する対象(データ)への言及が不十分である。
- 1点: 断片的なキーワードのみ記載されている。
- 0点: 無解答、または全く的外れな内容である。
論理性(構造)(3点)
- 3点: 20字以内という制約の中で、過不足なく端的に目的が表現されている。
- 2点: 意味は通じるが、字数制限に対してやや不自然な言い回しがみられる。
- 1点: 構造が不明確で、文意を読み取ることが難しい。
- 0点: 無解答、または全く意味をなさない。
解説
本問は、F社の新製品開発にあたり、空飛ぶクルマの開発メーカーとの協業を前提とした技術面の目的を問う設問です。
モーションシミュレーターを新たに開発・最適化するためには、実際の機体の動きや制御に関する正確な情報が不可欠です。
B氏は、協業によって開発メーカーから設計上のデータを得ることで、シミュレーターの要求仕様を満たす精度の高い製品が実現できると考えました。
高得点のポイント
開発メーカーとの協業目的として、データや情報を取得することに言及していること。
取得する対象が単なる情報ではなく、設計上のデータであることを明記していること。
(2)
B氏が,レーシングゲーム用のモーションシミュレーターを作る国内メーカーとの技術提携を前提とした技術面の理由は何か。35字以内で答えよ。
模範解答
フィードバックの制御技術の開発はF社では難しいから
採点基準(配点 7点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: F社単独では「フィードバックの制御技術の開発」が難しいという理由を正確に指摘できている。
- 3点: 制御技術の開発が難しいことには触れているが、「フィードバックの」という重要な修飾要素が抜けている。
- 2点: 他社の技術が必要であることには触れているが、具体的にどの技術(フィードバック制御)であるかの記載がない。
- 1点: 断片的なキーワードのみ記載されており、設問の意図から逸脱している。
- 0点: 無解答、または全く的外れな内容である。
論理性(構造)(3点)
- 3点: 35字以内という制約の中で、因果関係が自然かつ論理的に構成されている。
- 2点: 意味は通じるが、表現がやや冗長であるか、文法的なつながりにわずかな違和感がある。
- 1点: 構造が不明確で、文意を読み取ることが難しい。
- 0点: 無解答、または全く意味をなさない。
解説
本問は、レーシングゲーム用のモーションシミュレーターを作る国内メーカーと技術提携する技術的な理由を問う設問です。
空飛ぶクルマの操縦訓練用システムでは、操作に対するリアルタイムな反応が求められますが、フィードバックの制御技術の開発は、これまで実験・試験装置を中心に手掛けてきたF社単独では難しいという課題がありました。
そこで、既にゲーム等で高度なフィードバック制御技術をもつメーカーと提携することで、この技術的障壁を乗り越えようとしています。
高得点のポイント
F社単独での開発が困難な技術領域に言及していること。
その領域がフィードバックの制御技術であることを明記していること。
提携先がその技術を補完する役割を担う文脈が読み取れること。
(3)
B氏が,F社の保有技術を生かせないと考え新製品の対象から外した理由となる,空飛ぶクルマの荷物輸送の遠隔操縦システムの特徴は何か。25字以内で答えよ。
模範解答
視覚情報だけを基に操縦する。
操縦に移動の体感が不要
採点基準(配点 7点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: 「視覚情報だけを基に操縦する」または「操縦に移動の体感が不要」という特徴を正確に指摘できている。
- 3点: 体感が不要であることや視覚情報に依存することに触れているが、表現が曖昧で的確さに欠ける。
- 2点: 荷物輸送の特徴(無人であることなど)には触れているが、操縦システムの特徴としての説明になっていない。
- 1点: 断片的なキーワードのみ記載されており、設問の意図から逸脱している。
- 0点: 無解答、または全く的外れな内容である。
論理性(構造)(3点)
- 3点: 25字以内という制約の中で、文脈が自然かつ論理的に構成されている。
- 2点: 意味は通じるが、表現がやや冗長であるか、接続関係にわずかな違和感がある。
- 1点: 構造が不明確で、文意を読み取ることが難しい。
- 0点: 無解答、または全く意味をなさない。
解説
本問は、空飛ぶクルマの荷物輸送の遠隔操縦システムが、F社の保有技術を生かせない対象として外された理由を問う設問です。
荷物輸送においては搭乗者がいないため、乗り心地や機体の動きを人間が体感する必要がありません。つまり、カメラ等からの視覚情報だけを基に操縦するか、あるいは操縦に移動の体感が不要となります。
F社の最大の強みである「動きの再現(モーションシミュレーション)」という技術は、体感を伴う操縦においてこそ生きるため、荷物輸送は対象外とされました。
高得点のポイント
荷物輸送の遠隔操縦システムにおける操縦の特性に言及していること。
視覚情報だけを基に操縦すること、または操縦に移動の体感が不要であることのいずれかを明記していること。
なぜF社のモーションシミュレーション技術(体感の再現)が不要になるのかが伝わる内容であること。
設問3
〔将来の事業展開〕について答えよ。
(1)
B氏が,災害時・緊急時を想定した空飛ぶクルマの活用における遠隔操縦は,操縦者不要な自動操縦の実用化に至った後も残ると考えたのはなぜか。30字以内で答えよ。
模範解答
厳しい気象条件と場所での運用を強いられるから
機体の移動や動揺を体感しながら操縦する必要がある。
採点基準(配点 7点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: 「厳しい気象条件と場所での運用を強いられるから」または「機体の移動や動揺を体感しながら操縦する必要がある」という理由を正確に指摘できている。
- 3点: 環境の厳しさや体感の必要性に触れているが、要素が部分的に不足しているか表現が曖昧である。
- 2点: 災害時の一般的な困難さに言及しているものの、遠隔操縦や動揺の体感といった技術的・操作的な必然性に結びついていない。
- 1点: 断片的なキーワードのみ記載されており、設問の意図から逸脱している。
- 0点: 無解答、または全く的外れな内容である。
論理性(構造)(3点)
- 3点: 30字以内という制約の中で、文脈が自然かつ論理的に構成されている。
- 2点: 意味は通じるが、表現がやや冗長であるか、接続関係にわずかな違和感がある。
- 1点: 構造が不明確で、文意を読み取ることが難しい。
- 0点: 無解答、または全く意味をなさない。
解説
本問は、災害時・緊急時を想定した空飛ぶクルマにおいて、自動操縦の実用化後も遠隔操縦が残ると考えられる理由を問う設問です。
災害時や緊急時の運用は、平時と異なり厳しい気象条件と場所での運用を強いられることが想定されます。
予測困難な環境下では完全な自動操縦だけでは対応しきれない場合があり、状況に応じて機体の移動や動揺を体感しながら操縦する必要があるため、人の判断と遠隔操縦による介入が引き続き求められます。
設問の講評にもある通り、一般的な空飛ぶクルマの活用シーンではなく、「災害時・緊急時」特有の厳しさと遠隔操縦訓練用システムとの関連を正しく理解することが重要です。
高得点のポイント
災害時・緊急時という特殊な状況下における運用環境の厳しさに言及していること。
厳しい気象条件と場所での運用を強いられること、または機体の移動や動揺を体感しながら操縦する必要があることのいずれかを明記していること。
(2)
B氏が,災害時・緊急時を想定した空飛ぶクルマの遠隔操縦の訓練用システムを販売することで改善できると考えた現在の市場における問題は何か。35字以内で答えよ。
模範解答
災害時・緊急時に対応できる操縦技能の高い操縦士の不足
採点基準(配点 7点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: 現在の市場の問題である「災害時・緊急時に対応できる操縦技能の高い操縦士の不足」を正確に指摘できている。
- 3点: 操縦技能の高い操縦士の不足には言及しているが、「災害時・緊急時に対応できる」という特殊な状況への言及が欠けている。
- 2点: 単なる「操縦士の不足」にとどまり、高度な技能や災害時といった具体的な要件が含まれていない。
- 1点: 断片的なキーワードのみ記載されており、設問の意図から逸脱している。
- 0点: 無解答、または全く的外れな内容である。
論理性(構造)(3点)
- 3点: 35字以内という制約の中で、問題点が自然かつ論理的に構成されている。
- 2点: 意味は通じるが、表現がやや冗長であるか、文法的なつながりにわずかな違和感がある。
- 1点: 構造が不明確で、文意を読み取ることが難しい。
- 0点: 無解答、または全く意味をなさない。
解説
本問は、災害時・緊急時を想定した空飛ぶクルマの遠隔操縦訓練用システムを販売することで改善できる、「現在の市場における問題」を問う設問です。
前問で述べた通り、災害時・緊急時の運用には厳しい条件下での高度な操縦技術が求められます。しかし現在、そうした災害時・緊急時に対応できる操縦技能の高い操縦士は不足しています。
B氏が立案した戦略は、F社の強みである高精度なモーションシミュレーターを用いた訓練システムを提供することで、この「高度な技能を持つ操縦士の不足」という市場のボトルネックを解消しようとするものです。
設問の講評にもある通り、単なる操縦士不足ではなく「災害時・緊急時に対応できる技能の高さ」という文脈を含めることが不可欠です。
高得点のポイント
市場における問題として、操縦士が不足している状況に言及していること。
単なる不足ではなく、災害時・緊急時に対応できる操縦技能の高い操縦士が不足していることを明記していること。
設問3(2)は,正答率が高かったが,空飛ぶクルマに期待される一般的な活用シーンを示す解答が一部見受けられた。現在の市場における問題が何であるかと,災害時・緊急時を想定した空飛ぶクルマの遠隔操縦の訓練用システムについて正しく理解して解答してほしい。