IPA AI の活用と留意事項 — 頻出論点と過去問
頻出論点
1. この分野は何か
画像や音声、文章から意味をくみ取る働きがあるので、手順を書き尽くせない仕事でもAIに任せられます。その一方で、AIの判断は学習に使ったデータの偏りを引き継ぎ、もっともらしい誤りも出すため、使い方の原則が政府の指針として掲げられています。
2. 実際の出題のされ方
業務改善の事例やシステム構成の中から、実際にAI技術が使われているものを見分ける問いが繰り返し出題されています。複数の業務効率化事例からAI導入によるものだけを選ぶ問題や、コールセンター業務でAIを活用したFAQシステムの事例を選ぶ問題、自然言語処理が使われている事例をすべて選ぶ問題が、ITパスポートに出ています。また、プロンプトエンジニアリングの説明、もっともらしいが事実と違う出力を指す用語、学習者の理解度に合わせて教材を出し分ける仕組みの名前を選ぶ問題と、グループ別の対応件数と時間の割合の表から、AIを入れた後の全体の時間の短縮率を求める問題も出ています。さらに、人間中心のAI社会原則の基本理念や留意事項、AI利活用時のリスク、機械学習で用いるデータのバイアス低減と品質確保の対策について、適切な記述の組み合わせを選ぶ問題もあります。
製造現場やサービスでのAIの使い道と、社会への影響は、実際の業務の場面を設定して問われます。スマートファクトリーでマシンビジョンを使う目的を選ぶ問題は、応用情報技術者の午前に出ています。
高度試験の午前IIには、パーソナルデータを使って個人を点数付けするサービスの事例を選ぶ問題(システムアーキテクト)と、SNSや検索でのフィルターバブルの説明を選ぶ問題(ITストラテジスト)があります。
3. 学習のポイント
AIに当たるかどうかは、入力の意味をくみ取って判断しているかで見分けます。
- AIの働きと、手順をなぞる処理: 防犯カメラの映像から転んだ人を見つける、会議の録音から発言を文字にして要点をまとめる、といった処理はAIの働きです。温度が設定値を超えたら警報を鳴らす、表の数字を決まった式で集計する、といった処理は、人が決めた条件や手順をなぞっているだけで、AIそのものではありません。導入効果の計算では、業務をグループに分け、グループごとに全体の時間に占める割合と縮んだ割合を掛けてから足し合わせます。
- プロンプトエンジニアリング: 生成AIに何をどう頼むかを組み立てる工夫です。役割や前提を先に伝える、答えの形を表や箇条書きのように指定する、といった頼み方の違いで、返ってくる答えの質が変わります。
- ハルシネーション: 生成AIが、事実に基づかない内容を、もっともらしい文章で答えてしまうことです。
- フィルターバブル: 表示される情報が、その人の好みや行動の記録に合わせて選ばれ続けることで、自分と違う考えに触れる機会が減り、泡の中にいるように視野が狭まる状態です。
AIを使うときの原則と注意点は、何を守るためのものかで押さえます。
- 人間中心のAI社会原則: AIを社会で使うときに目指す社会の姿と、そのために守る原則を、政府がまとめたものです。
- 利活用時のリスクと学習データ: 学習データに偏りがあると、AIの判断に特定の人への不公平な扱いが紛れ込みます。個人に関するデータを学ばせるときは、本人の知らないところでの推測や公開にもつながりかねません。そのため学習データは、目的に合っているか、どこからどう作られたデータかを確かめてから使います。
4. 間違えやすいところ
人間中心のAI社会原則に書かれた留意事項を選ぶ問題では、人が使い方を判断して決めるのではなく、AIが自ら判断して決められるようにAIを高めなければならないとする、誤った記述がありました。原則は、AIをどう使うかの判断と決定を人の側に残す考え方をとっています。
スマートファクトリーでのマシンビジョンの目的を問う問題では、蓄積した入出荷のデータから需要を予測して生産数を決めるとする誤答肢がありました。数字のデータから先を読む予測の仕事で、カメラの画像を読み取るマシンビジョンの働きではありません。
個人をスコアリングするサービスの事例を選ぶ問題では、起業家の経歴や経営の力を数値にして、その会社がどれだけ伸びるかを投資家に示すサービスを挙げた誤答肢がありました。点数が付いているのは人ではなく会社の将来性で、個人を評価するサービスではありません。
学習の進み具合に応じて教材を変える仕組みを問う問題では、タレントマネジメントを並べた誤答肢がありました。タレントマネジメントは、社員の技能や経歴を配置や育成に生かす人事の仕組みです。
AI の活用と留意事項の理解度チェック
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