平成30年度 管理業務主任者試験問題 問42

区分所有者Aが、自己所有のマンションの専有部分甲(以下、本問において「甲」という。)をBに賃貸する場合に関する次の記述のうち、民法、借地借家法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、AB間の賃貸借契約は、定期建物賃貸借契約ではないものとする。

解答・解説

正解: 1. AB間において、一定期間、賃料を増額しない旨の特約がある場合には、経済事情の変動により、当該賃料が近傍同種の建物に比較して不相当になったときでも、Aは、当該特約に定める期間、増額請求をすることができない。

正解は 1 です。

本問は、マンションの専有部分の賃貸借契約(普通建物賃貸借)に関する民法および借地借家法の規定、ならびに判例についての理解を問う問題です。

借地借家法第32条第1項は、建物の借賃(賃料)が経済事情の変動等により不相当となった場合、契約の条件にかかわらず、当事者は将来に向かって賃料の増減を請求できると定めています(借賃増減請求権)。ただし、同項ただし書において、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約(不増額特約)がある場合には、その定めに従うこととされています。これは借家人(賃借人)に有利な特約であるため有効とされており、賃貸人Aは特約期間中、賃料の増額請求をすることができません。

各選択肢の解説

  • 1: 正しい
    借地借家法第32条第1項ただし書の規定により、一定期間賃料を増額しない旨の特約は有効です。したがって、経済事情の変動により賃料が不相当となった場合でも、賃貸人Aは特約で定めた期間中、増額請求をすることができません(なお、普通建物賃貸借において「一定期間賃料を減額しない旨の特約」は借家人に不利なため無効となります)。

  • 2: 誤り
    賃借人Bが建物の引渡し(入居)を受けている場合、建物賃貸借の対抗要件を備えています(借地借家法第31条第1項)。判例によれば、対抗要件を備えた賃貸借の目的たる建物が第三者Cに譲渡された場合、賃貸人たる地位は旧所有者Aから新所有者Cへ当然に移転します。そして、新所有者Cが所有権移転登記を備えれば、賃借人Bへの通知がなくても、賃貸人たる地位の移転をBに対抗することができます。

  • 3: 誤り
    借地借家法第28条により、賃貸人からの解約の申入れには正当の事由が必要とされています。これに反して「賃貸人Aからは正当の事由の有無を問わず中途解約できる」とする特約は、賃借人Bに不利なものであるため、借地借家法第30条(強行規定)により無効となります(一方、賃借人Bからの解約申入れについては、正当の事由を不要とする特約も有効です)。

  • 4: 誤り
    借地借家法は「建物の賃貸借」に適用されます(同法第1条)。使用目的が住居用であるか、事務所や店舗などの事業用であるかを問わず、建物の賃貸借であれば借地借家法が適用されます(ただし、一時使用目的の建物賃貸借であることが明らかな場合を除きます)。