平成30年度 管理業務主任者試験問題 問5
民法・その他の法令賃貸借(民法)
AとBとの間で、Aが所有するマンションの1住戸甲(以下、本問において「甲」という。)についての賃貸借契約が締結され、AはBに甲を引き渡した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
解答・解説
正解: 4. Bが、Aの承諾を得て、甲の賃借権をCに譲渡した場合、BがAに交付した敷金に関する権利義務関係は、当然にCに承継される。
正解は 4 です。
本問は、賃貸借契約における転貸借および賃借権の譲渡に関する民法の規定と判例についての理解を問う問題です。
賃借権が適法に譲渡された場合であっても、旧賃借人(B)が賃貸人(A)に交付した敷金に関する権利義務関係は、特段の合意がない限り、新賃借人(C)には当然には承継されません(最高裁判所昭和53年12月22日判決)。したがって、選択肢4が誤りであり、正解となります。
各選択肢の解説
1:正しい
賃借人が賃貸人の承諾を得ずに第三者に賃借物を転貸(無断転貸)したときは、原則として賃貸人は契約を解除することができます(民法第612条)。しかし、判例によれば、賃借人の行為が賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情があるときは、賃貸人は無断転貸を理由として契約を解除することができません。2:正しい
賃貸人(A)の承諾を得て適法に転貸借が行われた場合であっても、転借人(C)の権利は賃借人(B)の賃借権を基礎としています。判例によれば、賃借人(B)の債務不履行を理由として賃貸人(A)が賃貸借契約を解除したときは、原則として転貸借契約も履行不能となり、転借権も消滅します。3:正しい
賃借人(B)が賃貸人(A)の承諾を得て適法に賃借物を転貸したときは、転借人(C)は、賃貸人(A)に対して直接に義務を負います(民法第613条第1項)。4:誤り(正解)
判例によれば、賃貸人の承諾を得て賃借権の譲渡が行われた場合、賃貸人と旧賃借人との間の敷金に関する権利義務関係は、特段の事情(敷金を新賃借人に引き継ぐ旨の三者間の合意など)がない限り、新賃借人に当然には承継されません。