令和3年度 管理業務主任者試験 問10

管理費の滞納が生じたときにとられる通常の民事訴訟によらない法的手段に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

解答・解説

正解: 2. 「支払督促」による場合は、簡易裁判所に申し立てることにより書記官が支払を命ずる簡略な手続であるが、債務者から異議申立てがなされると通常の訴訟に移行してしまう。

正解は 2 です。

管理費等の滞納に対してとられる法的手段には、通常の民事訴訟以外にも、内容証明郵便による催告、支払督促、民事調停、少額訴訟などの多様な手続があります。それぞれの手続の要件と法的効果を正確に理解しておくことが求められます。

支払督促は、金銭等の支払を目的とする請求について、債権者の申立てにより簡易裁判所の裁判所書記官が債務者を審尋することなく支払を命ずる簡略な手続です。ただし、仮執行の宣言前に債務者が適法な督促異議の申立てをした場合には、支払督促はその督促異議の限度で効力を失い、適法な督促異議の申立てがあったときは、請求の目的の価額に応じて地方裁判所または簡易裁判所の通常の訴訟手続に移行します(民事訴訟法第382条、第390条、第395条)。

各選択肢の解説

  • 1: 不適切
    「内容証明郵便による督促」は、裁判外の請求である催告にあたります。催告には、その時から6箇月を経過するまでの間は時効が完成しないという時効の完成猶予の効力が生じます(民法第150条第1項)。したがって、「催告としての効力は生じない」とする記述は誤りです。

  • 2: 適切
    記述のとおりです。支払督促は簡易裁判所の裁判所書記官に対して申し立てる迅速・簡略な手続ですが、債務者から適法な督促異議の申立てがなされると、通常の民事訴訟手続に移行します。

  • 3: 不適切
    民事調停の手続において、弁護士等の専門家を代理人として依頼することは可能です。また、調停は当事者間の合意(話し合い)によって紛争の解決を図る手続であり、調停委員の意見そのものに法的な強制力はありません(当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときに確定判決と同一の効力を有します)。

  • 4: 不適切
    少額訴訟は、訴訟の目的の価額が60万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて利用できる手続です(民事訴訟法第368条第1項)。滞納額の総額が60万円を超えている場合であっても、債権の一部であることを明示した上で請求額を60万円以下に一部請求(分割請求)として申し立てることで、少額訴訟の手続を利用することは可能です。