令和3年度 管理業務主任者試験 問5

マンションの管理組合Aの管理費に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も不適切なものはどれか。

解答・解説

正解: 4. Aの管理規約において、各区分所有者は、Aに対する債務の消滅時効を主張することができない旨が定められていた場合には、区分所有者Eは、滞納した管理費の債務について、時効が完成したとしても、それによる債務の消滅を主張することができない。

正解は 4 です。

民法第146条により、「時効の利益は、あらかじめ放棄することができない」と規定されています。時効の完成前に、管理規約によってあらかじめ消滅時効を主張(援用)できない旨を定めたとしても、その定めは無効となります。したがって、区分所有者Eは時効完成後に消滅時効を援用して債務の消滅を主張することができるため、選択肢4は不適切です。

各選択肢の解説

  • 1:適切
    確定判決または確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利については、10年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は10年となります(民法第169条第1項)。また、裁判上の請求(訴訟の提起)があった場合、事由が終了した時(判決の確定時)から新たに時効の進行が始まります(時効の更新、民法第147条第2項)。したがって、確定判決を得た時から10年間行使しないときは時効によって消滅します。

  • 2:適切
    催告があったときは、その時から6箇月を経過するまでの間は、時効は完成しません(時効の完成猶予、民法第150条第1項)。ただし、催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、時効の完成猶予の効力を有しません(民法第150条第2項)。

  • 3:適切
    時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始めます(時効の更新、民法第152条第1項)。滞納していることを書面により認める行為は「債務の承認」にあたるため、その時から時効の更新の効力が生じます。

  • 4:不適切
    上述の通り、時効の利益はあらかじめ放棄することができません(民法第146条)。管理規約で時効を主張できない旨が定められていても無効であり、時効完成後に債務の消滅を主張することができます。