令和5年度 管理業務主任者試験 問29

甲マンションの住戸101号室をA、B、Cの3人が共有し、住戸102号室を所有者に無断でDが占有している場合に関する次の記述のうち、民法、区分所有法及び判例によれば、最も適切なものはどれか。

解答・解説

正解: 4. 102号室について、Dは、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定される。

正解は 4 です。

民法186条1項により、占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定されます。したがって、102号室を占有しているDについても、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定されるため、選択肢4が最も適切です。(なお、無過失については推定されません。)

各選択肢の解説

  • 1:不適切
    各共有者は、原則としていつでも共有物の分割を請求することができますが、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約(不分割特約)をすることが認められています(民法256条1項)。この特約がある場合は、その期間内は分割を請求することができません。

  • 2:不適切
    共有物の分割について共有者間の協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができます(民法258条1項)。裁判による共有物の分割方法には、現物をそのまま分ける「現物分割」、共有者の一人が他の共有者の持分を取得し代償金を支払う「全面的価格賠償(賠償分割)」、および目的物を競売して代金を分ける「競売分割」などがあります。1棟の建物の1住戸(区分所有権)は物理的に分割する現物分割になじみにくいものの、全面的価格賠償(賠償分割)の方法による分割が可能であり、競売による方法しか認められないわけではありません。

  • 3:不適切
    共用部分の共有持分は、その有する専有部分の処分に従うとされています(区分所有法15条1項)。また、共用部分は区分所有者全員の共有に属し(同法11条1項)、各共有者の持分はその有する専有部分の床面積の割合によるため(同法14条1項)、Dが102号室の専有部分の区分所有権を時効取得した場合には、それに伴い共用部分の共有持分も取得することになります。

  • 4:適切
    上記の通り、民法186条1項の規定により、占有者であるDは、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定されます。