令和4年度 管理業務主任者試験問題 問2

時効に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も不適切なものはどれか。

解答・解説

正解: 2. 時効の利益は、時効完成後には放棄することができない。

民法における時効(取得時効および消滅時効)の効力、時効の利益の放棄、および時効の更新等に関する問題です。

民法第146条において、「時効の利益は、あらかじめ放棄することができない」と規定されています。これは、契約時などに強い立場にある債権者が債務者に対して時効の利益を放棄させることを防ぎ、債務者を保護するためです。
一方で、時効が完成した後であれば、時効の利益を受けるかどうかは当事者の自由な意思に委ねられるため、時効の利益を放棄することは有効に認められます。したがって、時効完成後に放棄することができないとする選択肢2が最も不適切であり、正解となります。

各選択肢の解説

  • 1. 適切
    「時効の効力は、その起算日にさかのぼる」(民法第144条)と規定されています(遡及効)。したがって、消滅時効が完成し、当事者によって時効が援用(民法第145条)されて権利が消滅すると、起算日にさかのぼって効力が生じるため、その権利は最初からなかったものとされます。

  • 2. 不適切(正解)
    上述のとおり、時効の利益は「あらかじめ(時効完成前に)」放棄することができないのであり(民法第146条)、時効完成後に放棄することは可能です。

  • 3. 適切
    裁判上の請求(訴えの提起など)があった場合において、確定判決または確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときは、時効の完成が猶予された後、新たにその進行を始める時効の更新が生じます(民法第147条第1項第1号、第2項)。

  • 4. 適切
    所有権以外の財産権についても、自己のためにする意思をもって、平穏に、かつ、公然と行使する者は、一定期間の経過によってその権利を取得します(民法第163条)。したがって、用益物権である地上権や地役権(継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限る。民法第283条)についても、時効による取得(取得時効)が認められます。