令和5年度 管理業務主任者試験 問40
マンションの管理費の滞納に関する次の記述のうち、民法、民事訴訟法及び区分所有法によれば、最も不適切なものはどれか。
解答・解説
正解: 3. 管理費の滞納者に対して訴訟を提起するためには、事前に内容証明郵便による督促を行う必要がある。
最も不適切なものは 3 です。
管理費の滞納者に対して訴訟を提起する際、民法、民事訴訟法及び区分所有法上、事前に内容証明郵便による督促(催告)を行うことは義務付けられていません。実務上は、督促(催告)の文書の内容を証明するために内容証明郵便が(到達の事実の証明には配達証明と併せて)利用されることがあり、催告には時効の完成猶予の効果もありますが(民法第150条第1項)、訴訟提起の法的要件ではありません。
各選択肢の解説
- 1:適切
権利の承認があったときは、その時から新たに時効の進行が始まります(時効の更新、民法第152条第1項)。滞納者が管理組合に対して滞納額と滞納の事実を認めることは債務の承認にあたるため、その時から時効更新の効力が生じます。 - 2:適切
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します(民法第896条)。滞納管理費のような金銭債務(可分債務)は、相続開始と同時に当然に分割され、各相続人がそのマンションに居住しているか否かにかかわらず、それぞれの相続分に応じて承継します。 - 3:不適切
訴訟を提起するために、事前に内容証明郵便による督促を行う必要はありません。事前の督促がなくても直ちに訴えを提起することが可能です。 - 4:適切
相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされます(民法第939条)。したがって、相続人全員が相続放棄をした場合、いずれの相続人も滞納管理費債務を承継せず、支払義務を負いません。