「共有」の過去問(権利関係・14問)

1. この分野は何か

1つの土地や建物を、複数の人で共同して所有することを「共有」といいます。本分野では、共有している財産(共有物)を修理したり、貸し出したり、売却したりする際に、誰の同意がどれだけ必要なのかというルールや、共有関係を解消する(共有物分割)際のルールを学びます。

2. 学習のポイント

共有物の扱いについては、その行為の重さに応じて「単独でできるか」「過半数の同意が必要か」「全員の同意が必要か」という3つのレベルに分類されます。2021年の民法改正(2023年4月施行)で変更された部分に注意してください。

  • 保存行為(家の雨漏りを直すなど):各共有者が単独で行うことができます。
  • 管理行為(賃貸に出す、賃貸借契約を解除するなど):各共有者の持分の価格の過半数で決定します。「人数の過半数」ではない点に注意してください。
  • 変更行為(軽微な変更):形状や効用を著しく変更しないもの(砂利道をアスファルトにするなど)は、持分の過半数で決定できます(※法改正のポイント)。
  • 変更行為(重大な変更):共有物そのものを売却したり、建物を建て替えたりするような重大な変更には、共有者全員の同意が必要です。

3. 実際の出題のされ方

宅建試験では、共有単独で出題されるほか、相続問題と絡めて「共同相続した財産」の管理ルールとして問われることが非常に多いです。

「A、B、Cがそれぞれ1/3の持分で土地を共有している」といった事例で、Aが勝手に土地全体を第三者Dに売却してしまった場合どうなるか(Aの持分1/3については有効に移転するが、B・Cの持分にはAD間の売買の効力が及ばない)というパターンが頻出です。これはAが他人の権利を売った「他人物売買」であり、AD間の契約自体は有効で、AはB・Cの持分を取得してDに移転する義務を負います(民法561条)。代理権のない者が本人の名で契約する無権代理とは別物なので、混同しないよう注意してください。また、一人の共有者が他の共有者に無断で土地全体を占有している場合でも、他の共有者は当然には「自分に明け渡せ」と請求できない(単独で占有する権利はないが、持分に基づく一定の利用権はあるため)という判例ルールもよく狙われます。

4. 間違えやすいところ

持分の過半数と人数の過半数
管理行為の決定は「持分の過半数」です。Aが6割、Bが2割、Cが2割の持分を持っている場合、人数の上ではBとCが2人いても、A1人の持分(6割)で管理行為(誰に貸すかなど)を決定することができます。

共有者の1人が死亡・持分放棄した場合
共有者の1人が自分の持分を放棄した場合、または死亡して相続人が誰もいない場合、その持分は「他の共有者に、その持分の割合に応じて帰属」します(民法255条。国庫に帰属するわけではありません)。

ただし相続人不存在のケースでは、まず特別縁故者(内縁の配偶者や療養看護に努めた人など)への財産分与の手続が先に行われ、分与がされなかったときに初めて他の共有者に帰属するのが判例です(民法958条の2、最判平元.11.24)。「相続人がいない=即座に他の共有者のもの」ではありません。

所在等不明共有者に対する措置(法改正)
2021年の民法改正により、行方不明の共有者がいる場合でも、裁判所の決定を得ることで、残りの共有者の同意(重大な変更なら残り全員、管理行為なら残りの過半数)によって共有物の変更や管理ができるようになりました。

  1. 2025年度(R7) 問8 A、B及びCがそれぞれ3分の1の持分の割合で甲土地を共有している場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、…
  2. 2024年度(R6) 問3 甲土地につき、A、B、C、Dの4人がそれぞれ4分の1の共有持分を有していて、A、B、CのいずれもDの所在を知ることができ…
  3. 2020(R2)12月 問10 不動産の共有に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。…
  4. 2017年度(H29) 問3 次の1から4までの記述のうち、民法の規定及び下記判決文によれば、誤っているものはどれか。 (判決文) 共有者の一部の者か…
  5. 2011年度(H23) 問3 共有に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。…
  6. 2007年度(H19) 問4 A、B及びCが、持分を各3分の1とする甲土地を共有している場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤って…
  7. 2006年度(H18) 問4 A、B及びCが、持分を各3分の1として甲土地を共有している場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤って…
  8. 2003年度(H15) 問4 A,B及びCが,建物を共有している場合(持分を各3分の1とする。)に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,誤っている…
  9. 2001年度(H13) 問1 A・B・Cが, 持分を6・2・2の割合とする建物の共有をしている場合に関する次の記述のうち, 民法の規定及び判例によれば…
  10. 1997年度(H9) 問2 A及びBは, 共有名義で宅地を購入し, 共有持分の割合を, Aが3分の1, Bが3分の2と定めたが, 持分割合以外には特…
  11. 1994年度(H6) 問3 A・B・Cが別荘を持分均一で共有し, 特約がない場合に関する次の記述のうち, 民法の規定及び判例によれば, 誤っているも…
  12. 1992年度(H4) 問12 A・B・C 3人の土地の共有(持分均一)に関する次の記述のうち, 民法の規定及び判例によれば, 誤っているものはどれか。…
  13. 1991年度(H3) 問5 A・B・C 3人の建物の共有(持分均一) に関する次の記述のうち, 民法の規定及び判例によれば, 正しいものはどれか。…
  14. 1988年度(S63) 問7 共有に関する次の記述のうち, 民法の規定によれば, 正しいものはどれか。…