平成28年度 管理業務主任者試験 問11
管理委託契約・管理実務滞納管理費の回収
マンションの管理費の滞納に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説
正解: 1. 管理費を滞納している区分所有者が、当該住戸を売却した場合、買主は、売買契約の締結時に滞納の事実を知らなかったとしても、当該滞納管理費の支払義務を負う。
マンションの管理費等の債権債務関係、特に特定承継人への義務の承継や遅延損害金、倒産手続に関する規定(区分所有法および民法等)の理解を問う問題です。
正解は 1 です。
区分所有法第8条により、区分所有者が有する管理費等の債務は、その住戸を取得した特定承継人(買主など)に対しても請求することができます。この支払義務の承継は、買主が売買契約締結時に滞納の事実を知っていたか否か(善意・悪意)を問わず生じます。
各選択肢の解説
- 1:適切
区分所有法第8条(特定承継人の責任)により、前区分所有者の滞納管理費等の支払義務は特定承継人である買主にも承継されます。買主が滞納の事実を知らなかった(善意であった)としても、支払義務を免れることはできません。 - 2:不適切
金銭債務の不履行による損害賠償(遅延損害金)は法定利率(出題当時は年5%。民法第404条)によるのが原則ですが、約定利率が法定利率を超えるときは約定利率によるとされており(民法第419条第1項ただし書)、規約で法定利率を超える遅延損害金の利率(例:年14.6%など)を定めることができます。標準管理規約も、規約で遅延損害金の年利を定めて請求できることとし(第60条第2項)、そのコメント(第60条関係④)は、利息制限法や消費者契約法等における遅延損害金利率よりも高く設定することも考えられるとしています。ただし、公序良俗(民法第90条)に反するような著しく高率なものは無効となり得ます。 - 3:不適切
民事再生手続開始の申立てをしただけでは、直ちに滞納管理費の支払義務を免れるわけではありません。申立て前に生じた滞納管理費は再生債権となり、手続の中で再生計画が認可・確定されることによって初めて、計画に従った減免等が行われます。 - 4:不適切
贈与によって住戸を取得した受贈者も区分所有法第8条の「特定承継人」にあたるため、滞納管理費の支払義務を負います。しかし、これは元の区分所有者(贈与者)の債務が消滅する(免責的債務引受)わけではなく、元の区分所有者と受贈者が重畳的(並存的)に支払義務を負う関係となります。したがって、元の区分所有者は義務を免れません。
現行法での扱い(2026年4月1日時点)
2020年4月施行の民法改正で、法定利率は施行時に年3%とされ、以後3年ごとに見直す変動制になりました(民法第404条)。「民法所定の法定利率である年5%」という前提は現行法には当てはまりませんが、規約で法定利率を超える遅延損害金の利率を定めることができ、選択肢2が不適切であることに変わりはありません。