平成28年度 管理業務主任者試験 問4
甲マンションの一住戸乙(以下、本問において「乙」という。)を数人が共有する場合に関する次の記述のうち、民法及び建物の区分所有等に関する法律(以下、「区分所有法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
解答・解説
正解: 1. 各共有者は、5年を超えない期間内は乙の分割をしない旨の契約をしない限りは、いつでも乙の分割を請求することができる。
正解は 1 です。
本問は、マンションの一住戸(専有部分)を数人で共有する場合における、民法(共有)および区分所有法の適用関係に関する問題です。マンションの共用部分の共有には民法の共有の規定ではなく区分所有法第13条から第19条までが適用され(区分所有法第12条)、専有部分と分離した持分の処分もできないため(同法第15条第2項)、共用部分の分割は請求できませんが、一住戸(専有部分)の共有については民法の一般原則(民法第256条第1項)が適用されるため、各共有者は原則としていつでもその分割を請求することができます。
各選択肢の解説
- 1(正しい): 専有部分である住戸乙の共有については、民法第256条第1項の規定が適用されます。したがって、各共有者は、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約(不分割特約) をしない限り、いつでも乙の分割を請求することができます。
- 2(誤り): 専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、議決権を行使すべき者1人を定めなければなりません(区分所有法第40条)。この規定は強行規定であり、規約に別段の定めをしても、各共有者が持分に応じて分割して議決権を行使することはできません。
- 3(誤り): 各共有者は、他の共有者の同意を得ることなく、自己の持分を自由に処分(譲渡や担保設定など)することができます(民法第206条)。共有物全体(住戸乙全体)を処分する場合には共有者全員の同意が必要と解されていますが(民法第251条参照)、自己の持分のみの処分には他の共有者の同意は不要です。
- 4(誤り): 共有物である住戸乙を売却した場合の代金債権は、性質上可分債権(金銭債権)となります。数人の債権者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者はそれぞれ等しい割合で権利を有する分割債権となります(民法第427条)。したがって、各共有者は買主に対して売却代金全額を請求することはできず、自己の割合に応じた額しか請求できません。