平成28年度 管理業務主任者試験 問5

マンションの管理組合A(以下、本問において「A」という。)は、敷地に集会棟を新築する工事(以下、本問において「本件工事」という。)を行うため、建設会社B(以下、本問において「B」という。)との間で請負契約を締結した。この場合に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。

解答・解説

正解: 4. Bが本件工事を完成しない間は、Aは、いつでも損害を賠償して契約を解除することができる。

正解は 4 です。

請負契約において、請負人(建設会社B)が仕事を完成しない間は、注文者(管理組合A)は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができます(民法641条)。したがって、選択肢4の記述が正しいです。

各選択肢の解説

  • 1:誤り
    請負契約における報酬請求は仕事の完成が要件です(民法632条、633条)。当事者双方の責めに帰することができない事由によって工事を完成することができなくなった場合、注文者Aの責めに帰すべき事由によるものでもないため、請負人Bは報酬の支払いを請求することができません(民法536条1項)。
  • 2:誤り
    当時の民法(平成29年改正前民法635条ただし書)の規定により、請負契約の目的物に瑕疵があり契約の目的を達することができない場合であっても、建物その他の土地の工作物については契約を解除することができないとされていました。
  • 3:誤り
    管理者は、規約又は集会の決議により、その職務に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができます(区分所有法26条4項)。集会の決議だけでなく、規約の定めによっても原告となることができるため、「規約の定めによるのではなく、集会の決議が必要である」とする記述は誤りです。
  • 4:正しい
    民法641条の規定のとおり、請負人が仕事を完成しない間は、注文者はいつでも損害を賠償して契約を解除することができます。

現行法での扱い(2026年4月1日時点)

2020年4月施行の民法改正で、請負人の瑕疵担保責任の規定(旧第634条・第635条)は削除され、売買の契約不適合責任の規定が請負に準用されることになりました(民法第559条)。建物その他の土地の工作物について解除を制限する規定も無くなり、注文者は債務不履行の一般の規定によって契約を解除でき(民法第541条・第542条)、損害賠償も請求できます(民法第415条)。このため現行法では選択肢2も正しい記述となり、正解は一つに定まりません。なお、注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成できなくなった場合でも、既にした仕事の可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、請負人はその利益の割合に応じて報酬を請求できます(民法第634条)。