平成28年度 管理業務主任者試験 問6
民法・その他の法令相続
マンションの一住戸甲(以下、本問において「甲」という。)の区分所有者A(以下、本問において「A」という。)の死亡により、法定相続人であるBとCが甲を相続分2分の1ずつで共同相続した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
解答・解説
正解: 3. Bが、Cに無断で甲を単独で所有する旨の登記をした上で、Dに売却し、移転登記を完了させた場合でも、Cは、自らが相続した甲の持分について、登記がなくてもDに対抗することができる。
正解は 3 です。
共同相続人の1人が他の共同相続人に無断で単独所有の相続登記を行い、その不動産を第三者に売却して移転登記を完了させた場合でも、不実の登記には公信力がないため、他の共同相続人は自己の法定相続分については登記がなくても第三者に対抗することができます(最判昭38.2.22)。したがって、Cは自らが相続した甲の持分(2分の1)について、登記なくしてDに対抗することができます。
各選択肢の解説
- 1:誤り
遺産分割協議には、いつまでに行わなければならないという期間制限はありません(民法907条1項)。なお、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内」という期間制限(熟慮期間)が設けられているのは、相続の承認又は放棄をする場合です(民法915条1項)。 - 2:誤り
相続に関する被相続人の遺言書を偽造した者は相続欠格者に該当し、相続人となることができません(民法891条5号)。相続欠格に該当すると、家庭裁判所の認定や審判などの手続きを要することなく、法律上当然に相続人としての資格を失います。 - 3:正しい
上記の通り、BがCに無断で単独名義の登記をしてDに売却した場合、BはCの持分については無権利者であり、登記に公信力はないため、DはCの持分を取得できません。よって、Cは自己の法定相続分について登記なくしてDに対抗できます。 - 4:誤り
相続の放棄をした者は、その相続に関しては初めから相続人とならなかったものとみなされます(民法939条)。判例(最判昭42.1.20)によれば、相続放棄の遡及効は絶対的なものであり、相続放棄前に相続人の債権者が相続財産(持分)に対して行った差押えはその効力を失います。したがって、Cは登記がなくても単独相続したことを差押債権者Eに対抗でき、「Eの権利を害することができない(第三者保護規定)」という制限は適用されません。