令和4年度 管理業務主任者試験問題 問4

甲土地を所有するAが、B銀行から融資を受けるに当たり、甲土地にBのために抵当権を設定した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。ただし、甲土地には、Bの抵当権以外の担保権は設定されていないものとする。

解答・解説

正解: 2. 抵当権設定当時、甲土地が更地であった場合、当該抵当権の実行手続により買い受けたCから甲土地の明渡しが求められたときには、Aは、その請求に応じなければならない。

正解は 2 です。

本問は、民法における抵当権の効力の及ぶ範囲、法定地上権の成否、被担保債権の範囲、および消滅時効についての基本的な理解を問う問題です。

抵当権が実行されて買受人Cが甲土地の所有権を取得した場合、抵当権設定当時に甲土地が更地であったときには法定地上権(民法第388条)が成立しません。したがって、元の所有者であるAはCに対抗できる利用権を有しないため、Cからの土地明渡請求に応じなければなりません。

各選択肢の解説

  • 1. 誤り
    民法第370条は、「抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産(以下「抵当不動産」という。)に付加して一体となっている物に及ぶ。」と規定しています。日本の法制では、土地と建物は別個の不動産として扱われるため、土地に設定された抵当権の効力は、その土地上にある建物には及びません。

  • 2. 正しい
    法定地上権(民法第388条)が成立するためには、抵当権設定当時に土地の上に建物が存在していることが要件の一つとなります。本肢では、抵当権設定当時に甲土地は更地であったため、その後に建物が建てられたとしても法定地上権は成立しません。したがって、抵当権の実行(競売)によって甲土地を買い受けたCに対し、Aは土地を占拠する正権原を主張できず、Cからの明渡請求に応じなければなりません。

  • 3. 誤り
    抵当権は、元本だけでなく、利息その他の定期金についても担保します(民法第375条第1項)。ただし、後順位抵当権者や一般債権者を保護するため、優先弁済を受ける権利を行使できるのは原則として満期となった最後の2年分についてのみに制限されています。設定行為に別段の合意がない限り利息が一切担保されないわけではありません。

  • 4. 誤り
    民法第396条は、「抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない。」と規定しています。本問のAは債務者かつ抵当権設定者であるため、被担保債権が存続している限り、Aに対する関係でBの抵当権が単独で時効消滅することはありません。