平成4年度 宅地建物取引主任者資格試験 問8
権利関係契約の成立・解除
居住用不動産の売買契約の解除又は取消しに関する次の記述のうち, 民法の規定及び判例によれば, 正しいものはどれか。
解答・解説
正解: 3. 買主のローン不成立のときは契約を解除することができる旨の定めが当該契約にある場合において, ローンが不成立となったときは, 売主がその事実を知っていても, 買主が解除の意思表示をしない限り, 契約は解除されない。
正解の根拠
正解は 選択肢3 です。
ローン不成立のときに契約を解除できる旨の定め(ローン特約)は、解除権を買主に留保する特約です。民法の規定(第540条1項)により、契約の解除は相手方に対する 意思表示 によって行う必要があります。したがって、ローンが不成立になった事実を売主が知っていたとしても、買主から解除の意思表示がない限り、契約が自動的に解除されることはありません。
各選択肢の解説
選択肢1(誤り)
出題当時の民法では、目的物に隠れた瑕疵がある場合、契約を解除するためには、その瑕疵により 契約の目的を達することができない ことが必要でした。居住の用に支障がない場合は、契約の目的を達することができるため、契約を解除することはできませんでした。選択肢2(誤り)
不動産の引渡しと代金の支払いは 同時履行の関係 にあります。買主を履行遅滞に陥らせて契約を解除するためには、売主はただ催告するだけでは足りず、自らの債務(不動産の引渡しなど)について 履行の提供 をする必要があります。選択肢3(正しい)
上記の「正解の根拠」で述べた通り、解除権の行使には相手方に対する意思表示が必須であるため、この記述は正しいです。選択肢4(誤り)
契約の取消しに伴う当事者双方の原状回復義務(買主の登記抹消手続義務と売主の代金返還義務)は、同時履行の関係 に立ちます。したがって、買主が「まず先に(先履行として)」登記抹消手続を終えなければ代金返還を請求できないとする記述は誤りです。
現行法での扱い(2026年4月1日時点)
出題当時は、隠れた瑕疵により契約の目的を達せない場合に限り契約を解除できました。2020年4月1日施行の民法の一部を改正する法律などにより、契約不適合による解除は不履行が軽微な場合を除いて可能となりました。居住に支障がなくても不適合の程度や催告の有無により解除できることがあり、問題文だけでは正誤が決まりません。