宅建 従業者名簿・帳簿・守秘義務 — 頻出論点と過去問

頻出論点

1. この分野は何か

宅建業者が業務を適正に行っているかを行政(都道府県知事など)がチェックするため、また、お客さまが「この人は本当に業者の社員だろうか」と確認できるようにするために、業者の社内管理(名簿や帳簿の備え付け、証明書の携帯など)について定めたルールです。

併せて、不動産取引ではお客さまのプライバシー(資産状況など)に深く関わるため、宅建業者や従業員に課せられる「守秘義務」についても学びます。

2. 学習のポイント

1. 従業者名簿と帳簿の比較
この2つの書類は、備え付ける場所や保存期間が異なります。比較して覚えましょう。

  • 従業者名簿
    • 備え付け場所:各事務所ごとに備え付ける。
    • 保存期間:最終の記載をした日から10年間。
    • 閲覧:関係者から請求があったら閲覧させなければならない(誰が働いているか確認するため)。
  • 帳簿(日々の取引記録)
    • 備え付け場所:各事務所ごとに備え付ける。
    • 保存期間:各事業年度の末日で閉鎖し、閉鎖後5年間(自ら売主となる新築住宅の取引がある場合は10年間)。
    • 閲覧:プライバシー情報が含まれるため、閲覧させる義務はない(行政の調査等には応じる)。

2. 従業者証明書
宅建業者は、すべての従業者(アルバイトや清掃員も含む)に「従業者証明書」を発行し、業務中は携帯させなければなりません。そして、取引関係者から請求があった場合は、必ずこれを提示しなければなりません。

3. 守秘義務
宅建業者やその従業者は、正当な理由(裁判所の命令や本人の承諾など)がある場合を除き、業務上知り得た秘密を他人に漏らしてはいけません。この義務は、退職した後も(一生涯)続きます。

3. 実際の出題のされ方

宅建試験では、「事務所ごとのルール(標識・名簿など)」を問う問題の中で、選択肢の一部として頻繁に出題されます。

「帳簿」と「従業者名簿」のルールを入れ替えた引っかけが定番です。「宅建業者は、取引関係者から請求があったときは、帳簿を閲覧させなければならない」(正解:誤り。帳簿は閲覧させる義務がない。閲覧義務があるのは従業者名簿)といった問題です。

また、守秘義務に関する「正当な理由」の判断もよく出ます。「他の宅建業者から、取引の参考のために客の資産状況について問い合わせがあったため、回答した」といったケースは正当な理由にあたらず、守秘義務違反となります。

4. 間違えやすいところ

従業者名簿への取引士の記載
従業者名簿には、従業員の氏名や住所のほか、「その者が宅地建物取引士であるか否かの別」も記載しなければなりません。

従業者証明書と取引士証の提示
前述の通り、取引士が重要事項説明を行う際は「取引士証」の提示が義務付けられていますが、これとは別に、客から「あなたは本当にこの会社の社員ですか?」と請求されれば「従業者証明書」も提示しなければなりません。「取引士証を提示したので、従業者証明書は提示しなかった」というのは違反になります。

名簿と帳簿の「案内所」への備え付け
従業者名簿と帳簿は、「事務所(本店や支店)」に備え付ける義務があります。モデルルームやテント張りの「案内所」には備え付ける必要はありません。

従業者名簿・帳簿・守秘義務の理解度チェック

従業者名簿・帳簿・守秘義務の過去問一覧

業務上の規制のほかの論点

広告規制・取引態様の明示43問 勧誘・契約締結の禁止行為24問 事務所・案内所と標識24問