平成29年度 管理業務主任者試験 問2
民法・その他の法令不法行為
甲マンション(以下、本問において「甲」という。)において生じた不法行為に関する次の記述のうち、民法、区分所有法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
解答・解説
正解: 1. 甲の管理組合法人の防災担当理事Aが、過失により防災訓練実施中に区分所有者Bにけがをさせた場合、甲の管理組合法人とともにAもBに対して損害賠償責任を負う。
正解は 1 です。
区分所有法により、管理組合法人がその職務を行うにつき他人に加えた損害の賠償責任については、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(一般法人法)第78条の規定が準用されます(区分所有法第47条第10項)。
これにより、管理組合法人は、代表者(管理組合法人を代表する理事)がその職務を行うについて第三者に加えた損害を賠償する責任を負います。また、この法人の不法行為責任が成立する場合であっても、行為者である理事個人も民法第709条に基づく自身の不法行為責任を免れるものではなく、管理組合法人と理事個人の双方が損害賠償責任(不真正連帯債務)を負うというのが判例の立場です。したがって、選択肢1が正しい記述となります。
各選択肢の解説
1:正しい
防災担当理事Aが職務(防災訓練実施)を行うにつき過失によりBにけがをさせた場合、管理組合法人が損害賠償責任を負うとともに、直接の不法行為者である理事A個人も民法第709条に基づきBに対して損害賠償責任を負います。2:誤り
被用者(従業員)が事業の執行について第三者に損害を加えた場合、使用者(設備会社C)は使用者責任を負いますが、使用者が「被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったとき」は、その責任を免れます(民法第715条第1項ただし書)。したがって、選任及び監督について過失がなかったときでも不法行為に基づく損害賠償責任を負うとする本肢は誤りです。3:誤り
不法行為に基づく損害賠償債務は、催告(請求)を待たず、不法行為の時(損害発生の時)から直ちに遅滞に陥るとするのが判例の立場です。「損害賠償請求をした時から」遅滞の責任を負うとする点が誤りです。4:誤り
請負人がその仕事について第三者に損害を加えた場合、注文者(管理組合法人)は原則として損害賠償責任を負いません。ただし、注文又は指図についてその注文者に過失があったときに限り責任を負います(注文者の責任、民法第716条)。したがって、注文又は指図について過失がない場合でも責任を負うとする本肢は誤りです。