「保証・連帯債務」の過去問(権利関係・24問)

1. この分野は何か

お金を借りる(債務を負う)際、もし本人が返せなくなった場合に備えて、他の人が「代わりに返す」と約束する仕組みが「保証」と「連帯債務」です。

不動産の賃貸借契約で親が「連帯保証人」になったり、夫婦で家を買う際に「連帯債務」でローンを組んだりする等、実務で頻繁に登場するため、宅建試験でも「誰がどれだけの責任を負うか」が詳細に問われます。

2. 学習のポイント

1. 保証契約の基本
保証契約は、債権者(貸した人)と保証人の間で結ばれます。この契約は、必ず「書面(または電磁的記録)」で行わなければ効力を生じません(口約束は無効)。
また、保証人は主たる債務(借金)と運命を共にします(付従性)。主たる債務が時効で消滅すれば、保証人の義務も消滅します。

2. 「普通の保証」と「連帯保証」の違い
これが最大のポイントです。不動産取引で使われるのは99%「連帯保証」です。

  • 催告の抗弁権・検索の抗弁権:貸主がいきなり保証人に「金返せ」と言ってきた場合。普通の保証人なら「まずは本人に請求してくれ(催告の抗弁権)」「本人には隠し財産があるからそっちを先に差し押さえろ(検索の抗弁権)」と拒否できます。しかし、連帯保証人にはこの2つの権利(抗弁権)がありません。いきなり請求されたら払わなければなりません。
  • 分別の利益:保証人が複数いる場合。普通の保証人なら、頭数で割った金額だけ責任を負えば済みます(分別の利益)。しかし、連帯保証人には分別の利益がありません。何人いようが、全員が全額の返済義務を負います。

3. 連帯債務の「絶対効」
連帯債務者の一人について生じた事由が、他の債務者にも影響を及ぼすことを「絶対効」と言います。原則として連帯債務は「相対効(他の人に影響しない)」ですが、例外として以下の4つだけが「絶対効」を持ちます(これ以外はすべて相対効です)。

  • 弁済等(お金を返した)
  • 相殺(貸し借りをチャラにした)
  • 更改(契約を全く新しいものに作り変えた)
  • 混同(債権者と債務者が結婚・相続等で同一人物になった)
    ※以前の民法では「免除」や「時効の完成」も絶対効でしたが、法改正によりこれらは「相対効」に変わりました。

3. 実際の出題のされ方

宅建試験では、「連帯保証」に関する問題が毎年のように出題されます。

「貸主Aが、連帯保証人Cに対して借金の全額を請求した場合、Cはまず主たる債務者Bに請求するよう抗弁することができる」といった問題です(正解:誤り。連帯保証人には催告の抗弁権はありません)。

また、「情報提供義務」に関する新しい民法のルールも問われます。主たる債務者が事業のために負担する借金の保証人になる場合、主たる債務者は保証人に対し、自身の財産状況等について情報を提供する義務があります。これを怠り、貸主もその事実を知っていた場合は、保証人は保証契約を取り消すことができます。

4. 間違えやすいところ

連帯保証人の「時効の援用」
連帯保証人は、主たる債務者が借金の消滅時効を主張(援用)しなくても、連帯保証人自ら、主たる債務の消滅時効を援用することができます。主たる債務が消えれば、付従性によって連帯保証人の債務も消えるからです。

連帯債務の「時効の完成」(相対効)
連帯債務者AとBがいる場合。Aの借金だけが時効で消滅した場合、以前の民法ではBの借金も(Aの負担部分だけ)減りましたが、現在の民法では「相対効」であるため、Bは依然として全額の返済義務を負います(ただし、Bが全額払った後で、BからAへ負担部分の求償をすることは可能です)。

根保証契約の極度額
将来発生する不特定の借金をまとめて保証する「根保証契約」を結ぶ場合、個人の保証人(法人でない)を保護するため、必ず書面で「極度額(責任の限度額)」を定めなければなりません。極度額の定めのない個人の根保証契約は無効となります。

  1. 2025年度(R7) 問2 個人であるAが、①賃貸人Bと賃借人Cとの間の期間を2年とする居住用甲建物の賃貸借契約に基づくCの一切の債務の連帯保証契約…
  2. 2025年度(R7) 問9 連帯債務者の一人について生じた次の事由のうち、民法の規定によれば、他の連帯債務者に対して効力が生じないものとして正しいも…
  3. 2021(R3)10月 問2 債務者A、B、Cの3名が、令和3年7月1日に、内部的な負担部分の割合は等しいものとして合意した上で、債権者Dに対して30…
  4. 2020(R2)10月 問2 令和2年7月1日に下記ケース①及びケース②の保証契約を締結した場合に関する次の1から4までの記述のうち、民法の規定によれ…
  5. 2020(R2)10月 問7 保証に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。なお、保証契約は令和2年4月1日以降に締…
  6. 2017年度(H29) 問 8 A、B、Cの3人がDに対して900万円の連帯債務を負っている場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正し…
  7. 2013年度(H25) 問6 A銀行のBに対する貸付債権1,500万円につき、CがBの委託を受けて全額について連帯保証をし、D及びEは物上保証人として…
  8. 2013年度(H25) 問7 次の1から4までの記述のうち、民法の規定及び下記判決文によれば、誤っているものはどれか。 (判決文) 期間の定めのある建…
  9. 2012年度(H24) 問3 次の記述のうち、民法の条文に規定されているものはどれか。…
  10. 2010年度(H22) 問 8 保証に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。…
  11. 2008年度(H20) 問6 AからBとCとが負担部分2分の1として連帯して1,000万円を借り入れる場合と、DからEが1,000万円を借り入れ、Fが…
  12. 2006年度(H18) 問7 A銀行のB社に対する貸付債権につき、Cは、B社の委託を受けその全額につき連帯保証するとともに、物上保証人として自己の所有…
  13. 2004年度(H16) 問6 AとBが1,000万円の連帯債務をCに対して負っている(負担部分は半分ずつ)場合と, Dが主債務者として, Eに1,00…
  14. 2003年度(H15) 問7 Aは, Aの所有する土地をBに売却し, Bの売買代金の支払債務についてCがAとの間で保証契約を締結した。この場合, 民法…
  15. 2001年度(H13) 問4 AとBとが共同で, Cから, C所有の土地を2,000万円で購入し, 代金を連帯して負担する(連帯債務)と定め, CはA…
  16. 1998年度(H10) 問4 AがBに1,000万円を貸し付け, Cが連帯保証人となった場合に関する次の記述のうち, 民法の規定によれば, 正しいもの…
  17. 1996年度(H8) 問4 AとBが, Cから土地を購入し, Cに対する代金債務については連帯して負担する契約を締結した場合で, AとBの共有持分及…
  18. 1995年度(H7) 問3 AのBに対する債権(連帯保証人C)の時効の中断に関する次の記述のうち, 民法の規定及び判例によれば, 誤っているものはど…
  19. 1994年度(H6) 問9 Aは, BのCに対する1,000万円の債務について, 保証人となる契約を, Cと締結した。この場合, 民法の規定及び判例…
  20. 1993年度(H5) 問4 AがBに対して負う1,000万円の債務について, C及びDが連帯保証人となった場合(CD間に特約はないものとする。) に…
  21. 1991年度(H3) 問6 A及びBは, Cの所有地を買い受ける契約をCと締結し, 連帯して代金を支払う債務を負担している。この場合, 民法の規定に…
  22. 1990年度(H2) 問7 AのBに対する債権(Cも, Aに債務を負い, 又はBの債務を保証している。) についてのAの履行請求に関する次の記述のう…
  23. 1989年度(H1) 問10 A及びBは, Cと売買契約を締結し, 連帯してその代金を支払う債務を負担している。この場合, 民法の規定によれば, 次の…
  24. 1988年度(S63) 問9 保証債務に関する次の記述のうち, 民法の規定によれば, 誤っているものはどれか。…