宅建 売買 — 頻出論点と過去問

頻出論点

1. この分野は何か

不動産などの物を売り買いする契約が「売買」です。本分野では、引き渡された家が雨漏りしていたり、面積が足りなかったりといった「契約内容に適合しない」トラブルが発生した場合に、売主がどのような責任を負うのか(契約不適合責任)について学びます。

2. 学習のポイント

2020年の民法改正で「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」という名称に変わり、ルールも大きく変わりました。引き渡された目的物が「種類、品質または数量に関して契約の内容と適合しない」場合、買主は以下の4つの権利を行使できます。

  1. 追完請求(ついかんせいきゅう):目的物を修理してくれ(修補)、代わりのまともな物をくれ(代替物引渡し)と要求する権利。
  2. 代金減額請求:修理などを要求(催告)したのに売主が直してくれない場合に、その分だけ代金を安くしてくれと要求する権利。
  3. 契約の解除:契約自体をなかったことにする権利。改正後は債務不履行の一般ルールによるため、原則として追完の催告をしたうえで、不履行が「軽微」でなければ解除できます(催告解除)。契約の目的を達せられないような重大な不適合であれば、催告なしで直ちに解除できます(無催告解除)。「目的達成不能でなければ解除できない」という旧法の整理のままにしないよう注意してください(民法564条・541条・542条)。
  4. 損害賠償請求:不適合によって生じた損害の賠償を求める権利。売主に帰責事由(債務者の責めに帰すべき事由。おおむね故意・過失にあたるもの)がない場合は請求できません(民法415条1項ただし書・564条)。

3. 実際の出題のされ方

売買(契約不適合責任)は頻出の重要テーマです。「期間制限」のルールが非常によく狙われます。

買主がこれらの権利を行使するためには、原則として「不適合を知った時から1年以内に売主に通知」しなければなりません。ただし、この「1年以内の通知」が必要なのは「種類・品質」の不適合(例:雨漏り、シロアリなど)の場合のみです。「数量・権利」の不適合(例:面積が足りない、他人の土地が混ざっていた)の場合は、1年以内の通知は不要で、通常の消滅時効(知ってから5年など)にかかるまで権利を行使できます。

4. 間違えやすいところ

代金減額請求の手順
買主はいきなり「代金を安くしろ」と請求することはできません。原則として、まずは「追完請求(直してくれ)」をして、相当の期間を定めても直してくれない場合に、初めて代金減額請求をすることができます。

売主が悪意だった場合の期間制限の例外
引渡しの時点で、売主自身が「実はこの家、雨漏りするんだよな」と知っていた(悪意)または重大な過失によって知らなかった場合、買主を保護するため「知ってから1年以内の通知」という期間制限のルールは適用されなくなります(買主は1年を過ぎてから通知しても権利を行使できます)。

宅建業法との違い
民法の契約不適合責任は、当事者間で「特約(売主は一切責任を負わない等)」を結べば、その特約は有効となります。ただし、売主が不適合を知りながら買主に告げなかった事実については、免責特約があっても責任を免れません(民法572条)。

さらに、売主が宅建業者で買主が宅建業者でない場合には、宅建業法の「自ら売主の8種制限」が適用されます(買主が消費者かどうかではなく、宅建業者かどうかで決まります)。この場合、民法の原則より買主に不利な特約は無効ですが、「不適合を通知すべき期間を引渡しの日から2年以上とする特約」だけは例外的に有効です(宅建業法40条・78条2項)。業法と民法のミックス問題で出題されます。

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