「広告規制・取引態様の明示」の過去問(宅建業法・43問)
1. この分野は何か
不動産取引の入り口である「広告」や、客からの「注文」を受ける段階でのルールについて学ぶ分野です。
客を騙すような嘘の広告(誇大広告)をしてはいけないのはもちろん、まだ建つかどうかも分からない物件を広告して客を振り回すこと(広告開始時期の制限)も禁じられています。また、「自ら売主なのか、単なる仲介(媒介)なのか」という立ち位置(取引態様)を客に明確に伝えることも義務付けられています。
2. 学習のポイント
1. 広告開始時期の制限
宅地の造成や建物の建築に関する工事の「完了前(未完成物件)」においては、都市計画法上の開発許可や、建築基準法上の建築確認があった後でなければ、広告をしてはいけません。「許可の申請中」や「見込みが立った」段階での広告はフライングとなり違法です。
2. 誇大広告等の禁止
著しく事実に相違する表示や、実際よりも著しく優良・有利であると誤認させる表示(誇大広告)は一切禁止です。最大のポイントは、「実害が発生していなくても(誰も騙されなくても)」、広告を出した時点で宅建業法違反になるということです。
3. 取引態様の明示義務
宅建業者は、(1)広告をするとき、および(2)注文を受けたときの2つのタイミングで、自らが「売主・貸主」「代理」「媒介(仲介)」のどの立場で取引に関わるのかを、客に明示しなければなりません。
3. 実際の出題のされ方
宅建試験では、広告規制と取引態様の明示をセットにして1問出題されるのが定番です。
「建築確認の申請中の物件について、確認済証が交付される予定日を明記すれば広告をしてもよい」(正解:誤り。申請中はいかなる条件をつけても広告不可)という開始時期のルールの原則を問う問題が頻出です。
また、「取引態様の明示」については、「広告のたびに明示しなければならないか」「同じ業者から繰り返し注文を受ける場合でも明示が必要か」といった細かい運用ルールが問われます。これらはすべて「必要」が正解です。
4. 間違えやすいところ
契約締結時期の制限との違い
「未完成物件」について、開発許可や建築確認が下りる前は「広告」も「契約の締結」もできません。しかし、貸借の媒介・代理の契約については、例外として許可等が下りる前であっても契約を締結することができます。ただし、広告は貸借であっても一切禁止です。「貸借の媒介なら許可前でも広告できる」という引っかけに騙されないようにしましょう。
おとり広告の処罰
売る意思のない物件を広告する「おとり広告」は、誇大広告等の禁止規定に違反します。この規定に違反した場合、監督処分(業務停止処分など)を受けるだけでなく、罰則(6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)の対象にもなります。拘禁刑は2025年6月1日施行の刑法改正で懲役刑・禁錮刑が一本化されたもので、それ以前の過去問では「懲役」と表記されています。
取引態様の明示方法
取引態様の明示は、必ずしも書面で行う必要はありません。口頭で告げることでも足ります(実務上は書面に記載しますが、法的な最低要件としては口頭でも可)。
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