IPA クラウド・仮想化 — 頻出論点と過去問

この分野の学び方

1. この分野の全体像

クラウド・仮想化は、機器の資源をソフトウェアで切り分けて提供する基盤と、そのサービスを利用者が安全に使うための管理の両面から成ります。物理サーバやストレージを論理的に分割・統合する仮想化の技術が土台となり、その上に構築されたリソースをどの範囲まで事業者から借り受け、どう統制するかという利用側の判断が重なります。

問われる範囲は、仮想サーバを動かす効果やクラウドの定義・規格名を選ぶITパスポートの問題を足場に、応用情報技術者の午前のコンテナ型仮想化や構成管理の自動化へと進みます。データベースやアーキテクチャの観点からのリソースの設計と、監査やセキュリティの観点からの利用状況の可視化や評価制度は、高度試験の午前IIで問われる内容です。仮想化の技術は、クラウドの事業者の設備だけでなく、社内のサーバや利用者の端末の環境にも使われています。

2. 配下の論点の案内

  • 仮想化・クラウド基盤
    クラウドの土台となるサーバ・ストレージ・ネットワークの仮想化方式や、環境構築を自動化する技術を扱い、利用・統制の論点で出てくるサービス形態ごとの責任範囲の土台にもなっています。コンテナ型仮想化や仮想デスクトップの仕組みを選ぶ問題は応用情報技術者の午前にあり、高度試験の午前IIには、ストレージの割当て方式や、一部の物理サーバが止まったときに要る台数を求める計算も出ています。

  • クラウドサービスの利用・統制
    提供されるサービス形態ごとの利用者と事業者の責務分担、クラウド固有のセキュリティ対策や評価・監査制度を扱います。応用情報技術者の午前では段階的な移行で要らなくなる運用作業の組合せやプロビジョニングの説明が問われ、高度試験の午前IIではCASBやCSPMの機能、ISMAPの登録や監査の決まりまで選択肢の中身になります。

3. 学習の順序の提案

「仮想化・クラウド基盤」で学ぶハードウェア・OS・ミドルウェア・アプリケーションの層の重なりは、「クラウドサービスの利用・統制」でIaaSとPaaSの責任の境目を引くときの物差しとしてそのまま使われます。

受ける区分 先に学ぶ論点 次に学ぶ論点
ITパスポート クラウドサービスの利用・統制(サービス形態の用語・ISMSのクラウド規格名) 仮想化・クラウド基盤(1台の物理機器で複数の仮想サーバを動かす効果)
応用情報技術者 / 高度試験の午前I 仮想化・クラウド基盤(コンテナ型仮想化・IaC・VDIの動作) クラウドサービスの利用・統制(IaaS・PaaS移行で不要になる作業・プロビジョニング)
情報処理安全確保支援士 / ネットワークスペシャリスト / システム監査技術者 / ITサービスマネージャ / ITストラテジスト(午前II) クラウドサービスの利用・統制(JIS X 9401の責務分担・CASBとCSPM・ISMAPと監査の着眼点) 仮想化・クラウド基盤(NFV・仮想化を用いる利点)
システムアーキテクト / データベーススペシャリスト(午前II) 仮想化・クラウド基盤(シンプロビジョニング・オーケストレーション・物理サーバ停止時の再配分) クラウドサービスの利用・統制(クラウドサービス派生データ)

午後に目を向けると、応用情報技術者とネットワークスペシャリスト、データベーススペシャリストで、クラウドへの移行に伴うDNS・アドレス変換・ファイアウォールの設定や、性能・容量・料金の見積りを求める大問がありました。情報処理安全確保支援士・ITサービスマネージャ・システム監査技術者の午後には、コンテナ環境のデプロイ、クラウドの権限設計や設定の誤りから起きた事故、外部の事業者を含めたサービスレベルの管理と監査の手続も大問の題材です。

4. 分野をまたいで間違えやすいところ

「クラウドサービスの利用・統制」のプロビジョニングと、「仮想化・クラウド基盤」のシンプロビジョニングは、名前が似ていても話の大きさが違います。前者はサービス全体の設備をいつ用意しておくかという事業者の運営の考え方で、後者はストレージ装置の中で容量をどう割り当てるかという装置の機能です。

処理を受け持つサーバの数を負荷に合わせて増減するスケールアウト・スケールインは、システム構成の分野の性能の調整として扱われ、物理サーバそのものが処理を受け持つ構成で台数を減らす問題もこの考え方です。稼働中の仮想マシンを少ない台数のホストへ寄せ集めるのは、処理を受け持つ数の増減ではなく配置の変更で、仮想化基盤が持つ機能の側の話です。

クラウドの利用を統制する製品の機能を問う問題と、境界の機器で通信を遮断・検知する仕組みを問う問題は、守る対象が組織のクラウドの使い方か、ネットワークを流れる通信かで分かれ、前者は利用・統制の論点にもセキュリティ技術の分野にも数えられます。

クラウドへの移行で利用者の手を離れる運用作業を選ぶ問題は、サービスマネジメントのシステム運用の論点にも入っています。サービスマネジメントの側では日々の運用作業の一つとして、この分野の側ではどこまでを事業者に任せるかという利用の形として、同じ作業の一覧を取り上げます。

クラウド・仮想化の論点別の過去問

仮想化・クラウド基盤15問 クラウドサービスの利用・統制24問

クラウド・仮想化の理解度チェック

クラウド・仮想化の過去問一覧

この分野の午後問題(記述式・読み物)

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