IPA マーケティング戦略・市場分析 — 頻出論点と過去問

頻出論点

1. この分野は何か

売り手が考える4つの打ち手(製品・価格・流通・販売促進)には、それぞれ買い手の側から見た価値や負担の受け止め方が対になっています。どの客層に何を売りにするかを決める作業と、店頭や暮らしの場での客の振る舞いを調べる作業は、その打ち手を選ぶ前の材料集めです。値段を動かしたときに売れ行きがどれだけ動くかは、価格弾力性という一つの数値で表されます。

2. 実際の出題のされ方

狙う客を決めるまでの工程の用語や、価格の付け方と市場を調べる手法の名前は、定義を示して選ばせる問いにも、事例を示して選ばせる問いにも出てきます。自社製品の差別化ポイントを明確にする工程、顧客を年齢や家族構成などで分けて狙う層を絞る戦略、フェルミ推定に関する記述、マーチャンダイジングの説明、ABC分析の事例を選ぶ問題では、ITパスポートの段階で、用語の名前と中身の結び付きが試されています。また、応用情報技術者の午前では、4Pのプロモーションに対応する4Cの要素を選ぶ問題や、消費者特性の基準を4つに分けたときの人口統計的変数に当たるものを選ぶ問題が出ています。プライスライニング戦略やターゲットリターン価格設定、コンジョイント分析の説明を選ぶ問題も出題されました。

ITストラテジストの午前IIでは、理論の枠組みや調査手法の具体的な中身まで問われます。策定プロセスのフロー図の空欄に入る工程を選ぶ問題、コトラーの顧客価値ヒエラルキーの表で基本レベルに当たるものを選ぶ問題、ライフサイクルエクステンションの手法の例を選ぶ問題、ブランドエクイティの説明を選ぶ問題が出ています。さらに、需要の価格弾力性に関する適切な説明を選ぶ問題、AIDMAモデルの活用方法を選ぶ問題、エスノグラフィーの活用事例やマーケットバスケット分析について適切な記述を選ぶ問題も出題されました。

消費者の購買行動の分類や、ブランド・価格の個別の戦略を一つずつ取り上げた問題もあります。システム監査技術者の午前IIでは、ヘンリー・アサエルの4つの製品タイプのうち不協和低減型に分類される製品に対する消費者の行動と、ペネトレーション価格戦略の説明を選ばせています。エンベデッドシステムスペシャリストの午前IIにも、ブランドリポジショニング戦略の説明を選ぶ問題があります。

3. 学習のポイント

流通は、売り手にとっては商品を届ける経路の設計で、買い手にとっては商品の手に入れやすさに当たります。

価格戦略は、価格をいつ、何のために、どの水準に置くかの組ごとに名前が付いています。需要の価格弾力性は、価格の変化率に対する需要量の変化率の比で、たとえば価格を5%上げたときに需要量が10%減る商品なら値は2です。

消費者の心の動きや買い方を表すモデルには、買う前の気持ちの段階を順に追うものと、製品への関わりの深さとブランドの違いの分かりやすさの組で買い方を分けるものがあります。市場調査の手法には、客の行動をその場で観察するもの、客に選ばせた結果から重視する点を逆算するもの、手元の販売記録を集計するものがあります。

4. 間違えやすいところ

専門家集団に同じ質問票への回答と結果の共有を繰り返して将来予測の合意をまとめる手法を、フェルミ推定の記述とした誤答肢がありました。回答と集約結果の還流を何度も重ねて意見を集約するやり方は、技術予測などで用いられるデルファイ法の説明です。

ライフサイクルエクステンションの例を選ぶ問題では、これまで扱っていなかった新しい市場に新製品を投入して企業の存続を図るとする誤答肢がありました。新しい市場に新しい製品を送り出す方策は、成長マトリクスの四つの方向のうちの多角化戦略です。

買い手が特定のブランドに抱く執着の強さを表し、高いほど他社ブランドへ移りにくくなる概念とする誤答肢が、ブランドエクイティの説明を選ぶ問題にありました。特定のブランドへの愛着や買い続ける傾向の強さを表す言葉は、ブランドロイヤルティです。

物流費の圧縮や地域内での接触機会の増加を狙って特定の地域に集中して出店するとする誤答肢は、マーチャンダイジングの説明を選ぶ問題で出たものです。限られた商圏の中に店舗を密に並べる出店の方針は、ドミナント戦略と呼ばれます。

ABC分析の事例を選ぶ問題では、繰り返し購入する顧客を直近の購入日・買う頻度・購入総額の3つの切り口から評価するとする誤答肢がありました。これら3つの指標で優良な客を見極める手法は、RFM分析に当たります。

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